中学数学と高校数学のはざま3


変化の割合と直線の傾き


中学数学では、直線の式と放物線(2次関数)を学習します。
放物線といっても、y=ax2という原点にぴったりくっついたものだけというごく簡単なものだけになっちゃったわけです。
いちおうこれで放物線の形は分かるんですが、放物線が原点からお引っ越しするには、定数項かxの1次の項が必要になります。
高校で決定的に数学嫌いになる原因の一つに関数が苦手というのがありますね。 高校数学の風景というのは、ある意味で関数漬けの日々です。放物線はひとまずおいといて、直線の式と傾きという話題で高校数学をやり始めた方を対象にこんなことを考えてみたいと思います。
直線の式を求める計算をどう解くか?
中学でだれでもおなじみの問題。次のような問題を皆さんはどう解きますか。


A(2,4)、B(4,-2)、2点を通る直線の式を求めよ。


2とおりの解法がありますが、中学生の皆さんは次の解法をやっておられるケースが目立ちます。
求める直線の式をy=ax+bとおく。
4=2a+b…(1)
-2=4a+b…(2)。
(1)と(2)で、aとbの連立方程式で解くというパターンですね。
答えは、y=-3x+10


もう1つの解法は、まず直線の傾きを求めようというものです。
4-2=2…xの増加量。-2-4=-6…yの増加量。
直線の傾き=yの増加量/xの増加量(xの増加量分の yの増加量 )だから、
-6/2=-3…直線の傾き。
求める直線の式はy=-3x+b。この式にx=2、y=4(x=4、y=-2どちらでも)を代入して、b=10。
答えは、y=-3x+10
解き方としては、どちらがいいかは言えません。臨機応変に計算が楽になる方を選べばいいと思います。


ところで、なぜ1つ目の解法パターンにかたよるのでしょうか。それは、まず直線の傾きを求める計算が今一つ理解できない。分数計算がいやだ。連立方程式のやり方だと分数計算を避けることが出来るケースが多いですからね。


変化の割合の考え方は重要!


なぜこんな話題を取り上げたかというと、直線の傾きというのは「変化の割合」そのものなんですね。この「変化の割合」が苦手だと、高校数学でパンクしちゃうんですよ。「変化の割合」は中学数学ではまだ蕾でも、高校数学では満開状態になります。この考え方と計算に慣れておかないと、あらゆる点で高校数学にならないです。
そこでまず、中学レベルでの「変化の割合」の復習を。

直線の傾きを求める式は、慣れるまでは次のような図を書いて考えるといいです。


直線の傾きはプラス(右へ行くと上り坂)とマイナス(右へ行くと下り坂)、それと(平ら、x軸と平行)があります。
A(-3,-3)、B(1,5)2つの点を通る直線の傾き。
中学生までは、常にxの増加量を考える時に、プラスマイナスにかかわらずx座標の小さい方から大きい方へいくら増えたかを考えます。そうすれば、xの増加量は常にプラス。したがって、yの増加量がプラスの時は上り坂、マイナスの時は下り坂になります。高校数学ではそれだけでは限界がありますが。
x|-3 → 1
y|-3 → 5

1-(-3)=4…xの増加量。5-(-3)=8…yの増加量。
8/4=2…A(-3,-3)、B(1,5)2つの点を通る直線の傾き。
この計算の最大のポイントは、出発点は、x座標、y座標とも点Aにそろえる、x座標どうし、y座標の引き算は、→(矢印)のとがった方から引くというものです。それで、xの増加量とyの増加量が出ますので、yの増加量/xの増加量(yの増加量÷xの増加量)をまちがえないで(どちらが分母か、どちらで割るか)計算するということです。
マイナスだらけの計算や引き算の引く向き、割り算の向きなどにまどわされてはいけません。練習すればだれでも出来るようになりますからね。


高校数学ではどう考えるか?


高校数学でも中学数学でも、基本的な考え方は同じですけどね。
ただ、次のような計算も出来ないとけないんです。「右方向・上り坂か下り坂」では足りないんです。具体的には、次の図のように考えることも必要です。このような考え方は、三角関数のtan(タンジェント)で、90度より大きい角を扱うときに必要になってきます。高校数学では、直線の傾きはtanで考えることがあります。
高校数学っぽくじっさいに計算してみましょう。
A(-3,-3)、B(1,5)2つの点を通る直線の傾き。
計算する時の注意点は、出発点は、x座標、y座標とも点Aにそろえても点Bにそろえてもどちらでもかまわないということを除けば、上に挙げたのとまったく同じです。また、高校数学では、点Bにそろえて出来なければ困ることになります。そこで、点Bにそろえて計算するとどうなるか記します。


A(-3,-3)、B(1,5)2つの点を通る直線の傾き。
x|1 → -3
y|5 → -3

(-3)-1=-4…xの増加量。(-3)-5=-8…yの増加量。
-8/-4=2…A(-3,-3)、B(1,5)2つの点を通る直線の傾き。
ついでに、A(2,4)、B(4,-2)、2点を通る直線の傾きも。
x|4 → 2
y|-2 → 4

2-4=-2…xの増加量。4-(-2)=6…yの増加量。
6/-2=-3…A(2,4)、B(4,-2)、2点を通る直線の傾き。
どうして同じ答えになるのか
気づかれたと思いますが、出発点は、点Aにそろえても点Bにそろえてもどちらも同じになりますね。これはxの増加量とyの増加量ともにプラスマイナスの符号が変わるので、割り算すると同じ答えになるからです。
点Aと点Bの2点間の距離を3平方の定理で求める時などは、差を2乗しますので、引く向きを意識しないでも答えをまちがえることはありませんが、引く向きを意識することは、高校数学にとってとても大切だということを心におとめおきください。


「中学数学と高校数学のはざま」は、実はいずれもよく似たテーマなんです。整式のかけ算、割り算というちがいこそあれ、プラスそれともマイナス??。こういうちょっとした数学の勘違いを軌道修正することで、数学が分かり始めるというきっかけになることもあります。
頑張ってくださいね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です