・1次式から方程式の世界へ

さて、中学生のみなさんの中で、方程式きらいだって人多いんじゃないでしょうか。特に、文章問題になるとね。

文章問題の方程式と言っても実は、算数でいう「旅人算」、「過不足算」、「つるかめ算」、「消去算」や「食塩水の濃度」など「割合」をからめたものなど、算数そのまんまの問題ですね。
ただし、y などの文字を使って式を立てて解かなきゃいけないから、ほんとたいへんなんですよ。
小学校で難しめの問題集やってた人にとってはたいしたことかもしれませんけれどもね。ただ言えることは、中学で習う方程式とグラフは高校生になってもオサラバできません。

文章問題はともかく、さしあたって、式だけの方程式の意味と解き方を完全に理解しておいた方がいいでしょう。

1次方程式

その1:1次方程式ってなあに?

まず、「1次」って言葉の意味から。
これは「1次式」のところで少し触れておきましたから、それをを参考にしてください。

「1次方程式」の意味と解き方を考えるうえで、「1次式」とのちがいをかんがえることはとても重要です。

まず、次をごらんあれ。
しょっぱなから難しいけど目を皿のようにして、よく考えてみてくださいね。考えることに値打ちがあるんです。

・式1: 5+4−3−7=2−3

・式2: 5+4−3−7=3−2

・式3: 2(−5)=10−2

・式4: 2(−5)=2−10

どういうことかと言うと、この中の2つは本物の「方程式」で、あとの2つは「方程式」ぽく化けさせただけ。1次式をかんたんにするとこうなるという式を書いただけのものです。

「=」がくせものなんですね。もう少し時間あげますから、もう一度、「=」の意味をよく考えてみてください。

…、…、…、はい、30分たちました??。説明しますね。

まずは正解。
式2式3が本物の「方程式」で、式1式4は1次式をかんたんにするとこうなるという式を書いただけのものです。

どこがどうちがうんだろう? そのカギは、「=」でつながった左の式をかんたんにするとわかります。両方ともかんたんにできますよね。

まず、式1式2の左の式をかんたんにすると、ともに2−3になる。

と、あらら、式1の右の式といっしょになっちゃたね。式2の右の式、3−2とはちがう。
さて、いっしょになるというということは、いったいどういうことだろう?

要するに、5+4−3−7という1次式をかんたんにする時に「=」でつないだってことなのよね。算数の計算で、たとえば、こんなの。

3×5−20÷(3+1)15−20÷415−510。

式1は、文字が入っている分、算数とちがうだけ。ここで使われているは、単に「この式をかんたんにしていくとああなって、こうなって…」とつないでいくはたらきを持っているのね。

次に、式3式4の左の式をかんたんにすると、2−10になる。

式4の右の式といっしょになっちゃたね。式3の右の式、10−2とはちがう。ここでも同じことが言える。2(−5)という1次式をかんたんにする時に「=」でつなぐと2−10になるということ。

さて、式2式3の左の式をかんたんにしてから、書き直してみると、こうなる。

・式2:−3=3−2

・式3:−10=10−2

どうです。結論からいうと、方程式ってこういうもんです。まず、方程式の特徴は、

・「」でつないだ左の式を「左辺(さへん)」、「」でつないだ右の式を「右辺(うへん)」と言う。
つまり、「」でつながれたのが「方程式」だと言える。

方程式の「」は、「左辺」と「右辺」の式が等しい関係にある。

この「等しい」というのがくせもので、1次式の場合も確かに”等しい”のだけれど、方程式の「等しい」は1次式の「」とは根本的に意味がちがう

※ もう少し正確に言うと、「左辺」の式をみたさなければならないし、同時に「右辺」の式もみたさなければならないということを表している。 さしあたってはこれだけ、当然、何のことかわからないよね。

 

その2:1次方程式を解くって?

では、実際に「1次方程式を解く」とはどのようなことなのかを考えてみよう。上の式1式2で考えてみる。

・式1: 5+4−3−7=2−3…ただの1次式

・式2: 5+4−3−7=3−2…1次方程式

まず、式1式2に、てきとうな数値を入れてみよう。

★ に2を代入した場合:
式1の左辺:
・5×2+4−3×2−7=1
式1の右辺:
・2×2−3=1

式1の左辺と右辺が等しくなる。これは、右辺は左辺をかんたんにしたものだから、等しくならなければおかしい。2以外のどんな数を入れても等しくなるので、やってみてね。
今度は、式2だよ。

式2の左辺:
・5×2+4−3×2−7=1
式2の右辺:
・3×2−2=4
式2の左辺と右辺が等しくならないね。

では、今度は、別の数を入れてみよう。

に−1を代入した場合:
式1の左辺:
・5×(−1)+4−3×(−1)−7=−5
式1の右辺:
・2×(−1)−3=−5

式1の左辺と右辺が等しくなる。これは、右辺は左辺をかんたんにしたものだから、等しくならなければおかしい。2以外のどんな数を入れても等しくなるので、やってみてね。

今度は、式2だよ。
式2の左辺:
・5×(−1)+4−3×(−1)−7=−5
式2の右辺:
・3×(−1)−2=−5

今度は、式2の左辺と右辺も等しくなったね。
式2は−1以外に、左辺と右辺が等しくなる数はないよ。やってみてね。

式2で、左辺と右辺が等しくなる数を見つけることを、方程式を解くというんだよ。

その3:1次方程式の解き方を考えよう

「方程式を解く」ってのは、方程式の左辺と右辺が等しくなる数を見つけることだって言ったよね。式2では、=−1をこの方程式の(かい)って言うんだよ。かんたんに言えば、「答え」。…この方程式解ける解って!?

でも、よく考えると、式2の方程式の解 =−1は、ただ当てはめただけで式を書いて求めたわけじゃないよね。じゃあ、式を書いて求めることができないのか? いや、もちろん、できる。これからその求め方をば。ただし、1次式をかんたんにすることと1次方程式を解くことのちがいを意識していないとわけがわからなくなることもあるから、ちょっとまとめ。

ya などどいった文字(変数なんて言ったりもする)をふくむ等式(=でつないだもの)には、その文字にどんな数値を代入(使われているその文字すべてを1つの数値に置きかえる)しても、つねに成り立つ等式がある。

このような等式を恒等式(こうとうしき)と言う。
上の式1式4みたいなやつですね。

・文字に数値をほりこんでも、特別な数値でないと成り立たない等式がある。このような等式を方程式と言う。
上の式2式3みたいなやつ。

方程式を解くのにどのようなことを知ってなければならないのか? 別に難しくはない。基本的に次の2つかな。これを算数の世界で考えてみよう。まず、1つめ。

・姉と弟のおこづかいをくらべると、姉の方が1000円多い。たとえば、姉5000円、弟4000円とか、姉1000000円、弟999000円とか。
まあ、いくらでもいいんだけど、姉5000円、弟4000円で考えてみる。
このことを無理やり式に表すとこうなる。
 式: 姉のおこづかい=弟のおこづかい+1000円
さて、ここからが問題。

その1:姉も弟も500円もらった。
その結果、姉5500円、弟4500円になるね。

これを式で表すと、
式: 姉のおこづかい+500円=弟のおこづかい+500円+1000円
「=」でつないでも成り立つね。

その2:姉も弟も1000円落とした。
その結果、姉4000円、弟3000円になるね。

これを式で表すと、
式: 姉のおこづかい−1000円=弟のおこづかい−1000円+1000円
「=」でつないでも成り立つね。

その3:姉も弟も夢の中でおこづかいが3倍になった。
その結果、姉15000円、弟12000円になるね。

これを式で表すと、
式: 姉のおこづかい×3=(弟のおこづかい+1000円)×3

左辺から姉のおこづかいを計算すると、5000円×3で15000円、右辺から姉のおこづかいを計算すると、(4000円+1000円)×3で15000円。
「=」でつないでも成り立つね。

その4:姉も弟も夢の中でおこづかいが半分になった(T_T)。

その結果、姉2500円、弟2000円になるね。

これを式で表すと、

式: 姉のおこづかい÷2=(弟のおこづかい+1000円)÷2

左辺から姉のおこづかいを計算すると、5000円÷2で2500円、右辺から姉のおこづかいを計算すると、(4000円+1000円)÷2で2500円。
「=」でつないでも成り立つね。

つまり、「=」でつないだ「左辺」と「右辺」に同じ数を足したり、同じ数を引いたり、同じ数をかけたり、同じ数で割ったりしても、「左辺=右辺」の関係は変わらないということね。

方程式を解くのに必要なことを、もう1つ。やはり、姉のおこづかい=弟のおこづかい+1000円で考える。

姉のおこづかい=弟のおこづかい+1000円は、
姉のおこづかい−1000円=弟のおこづかいと表すこともできる。同じ等式の関係でも表し方はいくつかあるということ。

この2つの式で、さっき説明した「左辺」と「右辺」に同じ数を足したり、同じ数を引いたりしても、「左辺=右辺」の関係は変わらないというのをあてはめてみよう。

その1:姉のおこづかい−1000円=弟のおこづかい

この式の左辺と右辺に1000円を足してみると、
姉のおこづかい−1000円+1000円=弟のおこづかい+1000円で、等式は成り立つ。

ところが、左辺をよく見ると、「−1000円+1000円」は0円と計算できるから、
姉のおこづかい=弟のおこづかい+1000円という等式に変わってしまうね。

その2:姉のおこづかい=弟のおこづかい+1000円

この式の左辺と右辺から1000円を引いてみると、
姉のおこづかい−1000円=弟のおこづかい+1000円−1000円で、等式は成り立つ。

ところが、右辺をよく見ると、「+1000円−1000円」は0円と計算できるから、
姉のおこづかい−1000円=弟のおこづかいという等式に変わってしまうね。

これは、いったいどういうことだろう?

その1では、左辺の「−1000円」が消えて、その代わりに右辺に「+1000円」が出現している。
その2では、右辺の「+1000円」が消えて、その代わりに左辺に「−+1000円」が出現しているね。まるで、「1000円」が左辺から右辺に、また、右辺から左辺に引っ越ししたように見えるでしょう?

等式や方程式の世界では、「=」という橋の両側に2つの別の世界があって自由に行き来できるんだね。ただし、「+」と「−」のプラス・マイナスの符号は反対のものに変わっちゃうけどね。
「この橋をわたる者、しかと心得よ。男は女に、女は男に変わるぞよ」なんてね。

方程式の世界では、この「橋をわたる」ことを、移項(いこう)と呼んでる。

以上、方程式を解くのに必要な考え方を2つ説明したけど、これを難しくまとめといたから覚えといてね。

☆ 方程式(等式)の解法のポイント
 左辺=右辺のとき:
  ・左辺と右辺に同じ数を足しても、等式の関係は変わらない。
  ・左辺と右辺から同じ数を引いても、等式の関係は変わらない。
  ・左辺と右辺に同じ数をかけても、等式の関係は変わらない。
  ・左辺と右辺を同じ数で割っても、等式の関係は変わらない。
    (ただし、0では割れないよ〜ん)

  ・右辺=左辺と、右と左の式を逆にした方が考えやすいこともある。
 ◎左辺+A=右辺のとき: ・左辺=右辺−A
 ◎左辺−B=右辺のとき: ・左辺=右辺+B
 ◎左辺=右辺+Cのとき: ・左辺−C=右辺
 ◎左辺=右辺−Dのとき: ・左辺+D=右辺

その4:1次式と1次方程式のちがい

1次方程式を実際に解く方法はどこでも目に触れると思うので、ここでは説明しません。でも、練習用のプリントは用意するつもりです。
 1次式と1次方程式のちがいを考えることはとても重要なので、今度は、またちがった角度から、そのちがいを考えてみることにします。

次の4つの問題で、そのちがいをよく理解してね。

 [その1]

式1:4(2−1)−9=7(3+5)+4

式2:4(2−1)−9+7(3+5)+4=

式1と式2を見くらべて考えよう。
式1が方程式で、式2はただの1次式だよ。右はしに「=」がついているのは、この式を簡単にせいという意味。

・まず、式1と式2の簡単にできるところは簡単にしてみる。
式1:左辺と右辺をそれぞれ簡単にする。この方程式は2つのことなる1次式が=で2つくっつけられており、それぞれ簡単にできるんだよ。

−13=21+39だね。あとは方程式の解法のお決まりのパターン。
−13=52、
=−4、これで終わり。

式2:1次式はいくら長くても、1次式は1つだけ。当たり前か。

4(2−1)−9+7(3+5)+4=8−4−9+21+35+4=29+26、これで終わり。

[ポイント]
・1次式は、A=B=C…トいったように=でつなげていくだけで、 最後の=の後に、簡単にした答えを書く。

方程式はふつう、次のように左辺と右辺を=でつないだものをたてに行を分けて書いていく

最後は、=−4などど答えを書く。

A=B
B=C
=−4

さあ、次は超重要!! いよいよ、真打が登場するからね。

1次式と1次方程式のちがい
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