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算数Tips集…算数の学力向上のヒント・コツやツボ

・その13…図形の性質と集合・四角形

四角形の性質をベン図で考えてみよう

算数・数学の学習の流れで、図形の問題に取り組まないわけにはいきませんね。

1つの図形の長さや面積に始まって、2つの図形の合同や相似などの形や大きさの関係、そして、平面図形から立体図形へと複雑化していきます。
図形もまた習得が困難なケースが目立ってきています。少しでも早い段階で、その基本となる「図形の性質」をしっかり理解しておくことは、とても大切だと思います。

「算数道場」で集合の考え方の基本をあつかいましたが、ついでに、「図形の性質」を集合の図で考えてみたいと思います。「算数道場」の方で説明すると、少し難しくて違和感があるかもしれませんので、こちらで取りあげます。

四角形の性質をベン図で考えてみよう

図形の性質の基本は、四角形と三角形ですが、まずは四角形から。というのは、三角形も超重要ですが、ベン図で図形どうしの関係を考えるのは、四角形の方が少し考えやすいと思いますので、先に四角形を取りあげます。

当たり前のことですが、四角形の性質をしっかり押さえておかないと、算数・数学になりません。自分の将来の選択に大きく関わってくる高校数学で、図形問題で苦戦しないためにも、その考え方や図形問題を解くときのこつを身につけておくにこしたことはありませんね。

初めに平行四辺形ありき?

有名どころの四角形(よく問題に出てくる)として、「台形」、「平行四辺形」、「長方形」、「ひし形」、「正方形」の5兄弟があります。
そして、先のこの四角形のファミリーを図で表すと、次のようになります。

ベン図で四角形の性質を考える

台形から始まって、「平行四辺形」→「長方形」→「ひし形」→「正方形」とだんだん内側に入っていきますね。「長方形」と「ひし形」はどちらが左でどちらが右でもかまいませんが、あとはこの順番が大切です。この順番で覚えておくことをお勧めします。

「初めに平行四辺形ありき? 」と言いましたね。四角形の中では、「平行四辺形」がいちばん大切だと考えます。
これは、三角形や、今はあつかわれなくなった台形の面積を考えたり、「長方形」→「ひし形」→「正方形」と後に続く四角形の性質を考える基本になります。

そこで、まず「平行四辺形」の性質のおさらいから。

ざっと、重要なのはこれくらいです。

「定義」・「性質」・「定理」・「となるための条件」

「平行四辺形」と他の四角形の性質の関係を説明する前に、「定義・定理・となるための条件」という3つの言葉は何を意味するのか、もう一度しっかり理解しておきましょう。
例として、平行四辺形で考えてみることにします。

平行四辺形の定義とは、簡単に言うと、「平行四辺形ってなあに?」ってことですね。
平行四辺形の定義は、上の赤い字で示したもので、「2組の対辺(向かい合う辺)がそれぞれ平行である四角形」ということになります。
「定義」は、1つしかなく、私は(あなたは)「鈴木 一朗」ですっていう、名前のようなものです。そして、「台形」、「平行四辺形」、「長方形」、「ひし形」、「正方形」にも、それぞれ「定義」があります。

次は「性質」。
「性質」は、その図形が持っている特徴で、たくさんあります。たとえば、「鈴木 一朗」の性質は、「足が速い」、「選球眼がいい」、「左打者である」、「強肩である」…など。
そして、図形の場合は、「定義」そのものも「性質」の1つになります。

次は「定理」。
「定理」は、「定義」とは1字ちがいですが、中身は大いに異なります。

「定理」は小学生の算数では使われませんが、「公式」とよく似たものと考えてもいいかもしれませんね。無条件で(証明なしに)利用していいものです。数学のレベルでよく知られた定理と言えば、たとえば、
・「3平方の定理(ピタゴラスの定理)」、「メネラウスの定理」など人の名前のついたものやそうでないもの、これもたくさんあります。
おどかすわけじゃありませんが、高校数学になると、「定理と公式」の嵐で、覚えるのと使いこなすのに苦労することになるかもしれません。
その意味でも、図形に関しても早いうちに、その基本となる性質をしっかり押さえておいた方がいいというわけです。

最後に、「となるための条件」。これは、「証明問題」を考える上で重要です。
やはり、平行四辺形で。中学数学の教科書には必ず、「図形の証明」のところに明記されていると思います。
平行四辺形になるための条件は:

どうでしょうか。上の「平行四辺形」の性質と見比べてみてください。
ほとんど同じで、最後の「1組の対辺が平行でその長さが等しい。」だけが新しくつけ加わったという感じですね。

ただし、これは「性質」とははっきり区別しておくようにしましょう。
たとえば、「長方形」の性質に「2本の対角線の長さが等しい」というのがありますが、逆に「2本の対角線の長さが等し」ければ「長方形」になるかというと、そうは言えないのです。
2本のマッチ棒を使って×のように組み合わせて4つの頂点を考え、いろいろ動かしてみると分かります。

長方形・ひし形、そして正方形へ

図形の性質とはどういうものかということをだいたいりかいしていただいたものとして、これから本題にはいります。

ベン図で四角形の性質を考える

もういちど、先ほどのベン図で説明します。

「台形」→「平行四辺形」→「長方形」→「ひし形」→「正方形」の順番が大事だと言いましたが、なぜかというと、内側の図形は外側の図形の性質をそのまま受け継ぐからなんですね。

たとえば、「長方形」は上の「平行四辺形」の性質をすべて持っています。

ついでに言うと、「長方形」の「定義」は、「4つの角がすべて等しい四角形」、たったこれだけです。四角形の内角の和は360度なので、360÷4=90で、1つの角はすべて90度になります。

長方形の性質とは、平行四辺形の性質に「4つの角がすべて等しい(4つの角がすべて90度)」という新しい性質がプラスされたものだと考えましょう。
「長方形」は「平行四辺形」の仲間で、1つ進化した図形だとでも言えましょうか。

また、「ひし形」の「定義」は、「4つの辺の長さがすべて等しい四角形」「正方形」の「定義」は、「4つの角がすべて等しく、4つの辺の長さがすべて等しい四角形」です。

いちばん最後の正方形で考えてみると、こうなります。
「正方形」は、「長方形」というお父さんと「ひし形」というお母さんから生まれた子どもで、両親の性質をすべて持っており、また、「平行四辺形」というおじいさん(おばあさん)の性質はもちろん持っているということですね。

たとえば、「正方形の対角線の長さはどうなっていたか」を考えるとき、「長方形」の対角線の長さは等しいから、「正方形」の対角線の長さも等しいと考えればいいわけです。
また、「正方形の対角線は、たがいに他を2等分する」かという疑問を持ったなら、「平行四辺形」がそうだから、いちいち正方形の図をかいて考える必要などないわけですね。

四角形のベン図のいちばん中心にある「正方形」は、ある意味で、四角形ファミリーの中で最も進化した図形だと考えることも出来ます。

・その14…図形の性質と集合・三角形

三角形の性質をベン図で考えてみよう

四角形の後になってしまいましたが、三角形の性質も重要です。
三角形には対角線がありませんし、頂点や辺が3つですので、その分、覚えるべき性質が少ないとも言えるかもしれません。
ただし、四角形と同様、算数・数学ではしょっちゅう出てきますので、それぞれよく使われる三角形の性質や三角形どうしの関係をよくつかんでおきましょう。

三角形のスター選手たち

二等辺三角形、正三角形、直角三角形、直角二等辺三角形、3つの角が30度、60度、90度の直角三角形、3辺の比が3:4:5の直角三角形
とりあえず、小学校の算数から高校の数学まで、この6つはよく出てきます。
最後の「3辺の比が3:4:5の直角三角形」は、なじみがうすいという方もおられるかもしれませんが、中学入試レベルの問題では使われる三角形です。その理由は3つの辺の長さの比がきれいに整数の比で表され、計算がやさしくなる(無理のない計算になる)直角三角形の代表選手だからです。
受験テクニックめいた話になってしまいますが、「苦しいときの3:4:5」、試験で時間切れ直前になって何とか答えだけでも書いておこうという時、直角三角形の問題ならばこの比に当てはめれば当たる可能性があるということですね。中学数学レベルでは、よく登場します。

重要な三角形の性質

三角形もベン図をかいてその性質の関係を考えたいと思いますが、その前に、重要な三角形の定義と性質のおさらいをしておきましょう。赤い部分は定義です。

重要な三角形の関係

三角形もベン図をかいてその性質の関係を考えたいと思います。四角形より性質は少ないですが、その関係は四角形よりも少し複雑に見えます。

ベン図で三角形の性質の関係を考える

名前のついていない三角形で重要な「3つの角が30度、60度、90度の直角三角形」と「3辺の比が3:4:5の直角三角形」の2つは、図の「」の部分に入ります。

、内側の図形が外側の図形の性質をそのまま受け継ぐのは、四角形と同じです。
「二等辺三角形」から「正三角形」と、「正三角形」は「二等辺三角形」の性質をすべて受け継ぎ、その上に、「3つの辺の長さが等しい」と「3つの角の大きさがすべて等しく、60度」という性質が加わるのだと考えましょう。

また、「直角二等辺三角形」は、「二等辺三角形」と「直角三角形」の間に生まれた子どもで、両方の性質を受け継いでいるのだと考えるといいですね。

「二等辺三角形」と「正三角形」の関係は、「その3_倍数と集合」でいうと、「2の倍数」と「4の倍数」の関係、「「その4_約数と集合」でいうと、「24の約数」と「12の約数」の関係に当たります。

ここでは触れませんが、図形の証明や、式や不等式の証明は中学、高校であつかわれ、難しく感じるかもしれませんよ。
「必要・十分条件」なんて2つの式の関係も、このような図を使って考えるととらえやすいと思います。

何でも、初めは難しく感じるものです。ベン図はイメージでその関係をつかむことが出来ますので、こういう図をかいて考える方法もあるのだということだけでも、早めに知っておいてくださいね。

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